刑事事件の裁判を傍聴してきました

その他

こんにちは。会社を早期退職して新しい人生を絶賛謳歌中のKappa.です。

さて、早期退職してやってみたかったことの一つである裁判傍聴に行ってきました。現在のNHK朝の連ドラが法曹界の偉人をモデルにした内容なのでタイムリーですね。

事前に大阪地方裁判所のホームページを確認すると10件程度の公判予定が掲載されていました。想像よりも少ない印象ですが、裁判所によると、内容を踏まえて掲載していない事件もあるようです。

公判の傍聴人席が抽選になる可能性を念頭に、公判のはじまる1時間前(午前9時)に最寄り駅に到着しました。地上に出て大阪市役所の横を歩いていると、市役所と元職員との間の揉め事に関するビラを配っていましたが、日常のことなのか行き来する人たちは誰もビラを受け取る様子はありません。堂島川沿いに少し歩いて水晶橋を渡ると大阪地方裁判所があります。元々は佐賀藩蔵屋敷があった敷地のようで、水晶橋を渡ってすぐの敷地内にその旨が彫り込まれた石碑が立っていました。

初めて傍聴に来たKappa.は正門から入ることが憚られたので、敷地の周りを半周回って北側にある門から入ることにしました。

門を入ると守衛が立っています。

Kappa.「裁判を傍聴したいのですが」

守衛「目の前にある新館でセキュリティー検査を受けてから、本館に行って開廷予定簿を確認したら良いですよ」

とても気さくに教えてくれました。

新館に入ってX線手荷物検査装置にカバンを流し、そしてKappa.自身が金属探知機ゲートを通り抜けて検査が終わります。ナイフや爆発物などを持ち込む可能性を想定しているんでしょうね。裁判所が、欲望と怒りが絡まりあってどうにも解決ができなくなった諍いに白黒をつける、または調停させる場所であるがために、色々な感情を持った人達が来るのだなぁ、とあらためて思い至りました。

本館に移動して、入口付近にいた守衛に話しかけてみます。

Kappa.「初めて傍聴に来たんですが、どこから傍聴したらよいのか分からないんですが」

守衛「開廷予定簿で見たい公判を決めて、法廷に行って傍聴するだけですよ。公判には段階があります。初公判、2回目以降の公判、そして判決。この順序で傍聴していくと裁判の流れが理解し易いですよ。」

どの守衛からも初心者にとっては非常に心強く感じられるアドバイスを貰いました。ありがとうございました。

開廷予定簿は大阪地方裁判所と大阪高等裁判所のものが置いてありましたが、今回はホームページにも掲載されていた大阪地方裁判所の殺人事件の公判に狙いを定めました。事件発生から数年後に犯人が逮捕されているので、決定的な証拠を見つけられるかがキーだと思われます。

法廷に向かいますが早すぎたようでまだ入室できません。トイレに行ってから再び法廷の前に戻ると、同年代と見受けられる男性が本を読みながら佇んでいます。Kappa.もカバンから本を取り出して読書しながら開廷を待つことにして、少し経った頃に振り向くと、20人程度の行列になっていました。

開廷20分前に職員が扉を開けてくれたので法廷に入ると、ドラマやニュース映像で見たことのある景色が目の前に広がっていました。傍聴人席の最前列で席を確保して開廷されるのを待っていると、大きなキャリアケースをもって検察官や弁護士がばらばらと入ってきて着席していきます。特に検察官の荷物は長期滞在の海外旅行でも使用できそうな大きさのケースであったのが印象的でした。中にはこれまでの捜査資料などが入っているようで、多くの付箋が貼られたファイルを取り出して机の上に並べていきます。弁護人は4,5人で構成されているようです。このうち弁護士バッジを付けているのは1人だけで、後ほど証人に質問をした弁護士もバッジを付けていませんでした。全員弁護士だったんでしょうか。。。?
Kappa.の横は記者席になっていて、座っていた人は、公判での発言を対比して記録するためにノートを2分割するような線を何ページにも引き続けていました。録画や録音が許されないので公判内容は全て手書きで記録しておく必要があるんですね。

開廷の3分前。6名の裁判員が入ってきて着席。同時に車椅子に乗って手錠と腰ひもを付けられた被告人が着席。間もなく3名の裁判官が入場すると、傍聴人を含めて全員起立、礼をして着席すると裁判官から開廷が宣告されました。

今日の公判では証拠品の採用可否判断を行うための証人尋問が行われるようです。

先ずは証人の宣誓、続いて検察官が用紙を見ながら質問を読み上げ、都度、証人が返答していく流れで進められていきました。途中、弁護人から異議ありの発声があり「質問の内容に意義が感じられない」という趣旨のクレームを付け、裁判官から検察官に「論点に絞って質問のこと」と指示が出されていました。ドラマで見たことのある場面でした。

検察側の尋問が終わったあとは弁護側からも証人尋問が行われ、そのあと裁判官が尋問をしてから少し長めの休憩を宣告しました。

休憩後に裁判官が弁護人と検察官を呼び集めて何やら相談事をしています。

さて、再開廷されると裁判官から証拠品採用の意思と趣旨説明がありました。検察官→弁護人の順で「異議なし」と発声し先程の根回しのとおりだったのか、証拠品の採用が決まりました。そのあとは次回公判の日程と段取りが確認されて閉廷となりました。

閉廷後、被告人の関係者と思われる人たちが被告を勇気づけるように目を合わせて頷いているのが印象的でした。なにせ事件発生から数年が経過してからの被告人の逮捕であること、被告人が写っていたとされる映像も不鮮明で本人を特定するには至っていないと思われることから、司法判断が難しい事件であると感じました。裁判官はプロだからやむを得ませんが、裁判員に選ばれた6人は相当悩むんだろうなぁ。

次に傍聴する公判を決めるために開廷予定簿を見に行くと、既に順番待ちの列ができていました。
外で昼ご飯を摂ってからでも傍聴可能な開廷時刻の公判を選びました。一つ目は傷害事件の判決。以前にネットで読んだ傍聴記事ブログによると、判決は短時間で終わるとのことだったので、引き続いて、同じ時刻から開廷する不同意性交事件の初公判を傍聴することにしました。

時間になって傍聴人席で開廷を待っていると、午前中の公判と同じく検察官と弁護人が着席してきますが、待てど暮らせど被告人が入廷してこないまま、開廷時刻を迎えて裁判官が着席しました。

裁判官から被告人不在について弁護人に質問があり、弁護人からは体調不良の旨の返答がありましたが、要領を得ない返答です。どうも、被告人が保釈されているものの弁護人と連絡が取りにくい状態になっていたようで、公判当日(今日)にやっと電話で連絡がついたものの、本人は著しい興奮状態で体調不良で出廷できない旨が申し入れられたとのこと。裁判官からは「保釈取り消し要件にも該当しかねない」と発言があり、早急に診断書を提出するように指示が出され、被告人欠席のために判決は延期となりました。

思いのほか早く終わりましたので、急ぎ初公判の法廷に移動します。

途中入場になるので緊張します。傍聴人席は混んではいたもののなんとか空席に辿り着くことができました。

既に検察側の起訴状朗読や罪状認否は終わっていてましたが、検察側の冒頭陳述の後半部分だけ聞くことができ、聞くに堪えない被告人の酷い行状が具体的に述べられていきました。そのあと、弁護側から2名の証人が証言台に立ち、被告人の生い立ちや良好な仕事ぶりなどが語られていましたが、検察側が述べる被告人の行状とのギャップが印象的でした。

検察官から被告人に対して「被害者が抗った時に何故、犯行を止められなかったのか」と質問し、被告人は「自制できなかった私の至らなさのため」と発言していました。また、弁護人から被告人の意思として「性被害者をサポートする看護師の資格を取得して少しでも罪を償いたい」旨の発言があったことに対して、Kappa.は強い違和感を感じていました。

そして公判の最後に裁判官から発言がありました。

「被告人は性被害者をサポートする看護師の資格を取得する意思があるようだが、看護される人からすると、目の前の看護師が性加害者であることを知った時にどう感じるのかを想像したことがあるか。また、犯行を自制できなかったことを自身の至らなさと発言していたが、この発言も含めて相手の気持ちを思い図ることが出来ていない被告人の心根に起因するように感じられる。被告人はそのことをよく考えるべき」という趣旨の発言を厳しい口調で述べていました。裁判官とは、客観的見地に立って検察側と弁護側の主張を聞き、淡々と公正な判断を下すだけだと思っていただけに、この常識的な発言で被告人を諫める姿が印象に残りました。Kappa.はこの事件の判決を聞くことはないと思いますが、この裁判官に任せておけば、過去の判例を鑑みながらも納得性のある判決を下してくれることでしょう。

余談ですが、公判途中にKappa.が座る傍聴人席の右斜め前方からスマートフォンの通知音が鳴りました。しばらくして同じ方向から再び通知音が鳴ったところで裁判官が発言中の弁護人を制止して、「法廷内ではスマートフォンの電源を切ってもらうことになっています。音を鳴らした方には退廷を命じることになりますので速やかに電源を切ってください!」と厳しい口調で注意されたあと、少し間をおいて、張本人と思われる人物が自ら法廷を出ていく一幕がありました。

今回は刑事事件の公判を3件傍聴しました。動機はただの興味本位でしたが、終わってみると良い勉強になったと感じています。開廷予定簿には、様々な罪状の刑事事件が記載されていました。また簡易裁判所や家庭裁判所ではもっと身近な民事裁判が行われているはずです。Kappa.も、いつ何時、誰かに訴えられる可能性がないとは断言できません。気を付けねば。。。

既に会社を早期退社したKappa.としては通勤電車で痴漢と間違われる心配もないので、少し先のことになりますが、自動車運転免許証の返納タイミングだけは誤らないように気を付けておきたいと思います。

最後までお読みくださりありがとうございました。

ではまた。

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